このような症状がある方へ
- 胸やけ、熱い
- 胸がつかえる
- 喉や口の中に酸っぱい液体が上がってくる(呑酸)
- 胸の不快感、違和感
- 喉の違和感・痛み
- 背中の張り
- 長引く咳
- 寝起きの口の中が酸っぱい、苦いなど不快な感じがする
- 胃の張り
- みぞおち付近の痛み
- げっぷがよく出る
胸やけの原因
食べ過ぎ・飲み過ぎ
- 暴飲暴食をしておなかがパンパンになることが多い。
- 食べたり飲んだりした後にすぐ横になりがち。
この様な習慣がある方は、飲食物や胃酸など胃の内容物が食道に逆流しやすく、逆流性食道炎を発症するリスクが高まっています。
また胃腸に負担をかけるライフスタイルと言えるでしょう。
- 暴飲暴食はしない。
- 飲んだ後は最低でも30分以上は横にならない。寝る前の3時間以内は食事をしない。
この様な習慣が胸焼け症状の予防や軽減に役立ちます。
刺激物、脂肪分の過剰摂取
- 酸味や辛味が強い刺激物の過剰摂取
- コーヒーやアルコールの過剰摂取
- 揚げ物や肉類などの脂肪やタンパク質の多い食品の過剰摂取
刺激物の過剰摂取は胃酸の分泌を増やします。
また消化の悪い脂質やタンパク質を摂りすぎると、胃酸の分泌が増えます。
消化の悪い脂質を摂るとコレシストキニンというホルモンが分泌され、食道と胃のつなぎ目のしまりが悪くなり、胃の内容物が逆流しやすくなり、胸焼けの症状が出やすくなります。
胸焼けの予防のために、刺激物や脂質・タンパク質のとり過ぎにご注意ください。
胃の圧迫
胃が圧迫されやすい状況として、以下のものが挙げられます。
- 前屈みの姿勢
- ベルトやコルセットをきつく締める
- 骨粗鬆症などの原因で圧迫骨折し、背中が曲がっている
- 肥満で内蔵脂肪が増えている
- 妊娠中
- 重いものを運ぶなど、お腹に力がかかる作業をする
胃が圧迫されると、胃の内容物が食道に逆流しやすくなり、胸焼けしやすくなります。
また便秘でおなかが張り、腹圧が高くなるとの内容物が食道に逆流しやすくなります。
食事量や体重を適切にコントロールするだけでなく、適度な運動習慣を身につけ、便秘を予防するようにしましょう。
食後は胃の中に飲食物があり逆流しやすくなっているため、食後3時間程度たってから就寝することをおすすめします。
うつ伏せの姿勢で寝ると胃の内容物が食道に逆流しやすくなります。
左下の姿勢で寝ると食道と胃のつなぎ目が鋭角になり、胃の内容物が食道に逆流しにくくなり、胸焼けの予防につながります。
喫煙
タバコに含まれるニコチンによる影響として、以下のものが挙げられます。
- 胃酸の分泌を増やす
- 食道と胃のつなぎ目にある下部食道括約筋が弛緩し、しまりが悪くなる
- 食道の運動機能が低下する
- 唾液の分泌量が減る
タバコを吸ってせき込むと、腹圧が上がり、胃の内容物が食道に逆流しやすくなります。
喫煙は逆流性食道炎を悪化させ、胸焼けの原因となります。
タバコを吸われていて、胸焼けが気になる方は禁煙をお勧めします。
ストレス
過労や睡眠不足などの生活習慣の乱れやストレスで、自律神経のバランスが崩れると、胃酸の分泌が増えたり、内臓の知覚過敏を認めることがあります。
加えて、食道や胃の運動機能が低下したり、下部食道括約筋の機能が低下することで、胃の内容物が逆流しやすくなり、胸焼けが強くなることがあります。
充分な睡眠時間を確保し、適度な運動や趣味などでリフレッシュして、ストレス発散しましょう。
胸やけを引き起こす疾患
胸やけは胃酸や食物などの胃の内容物が食道に逆流することによって起こり、様々な症状が起こります。みぞおちから胸にかけての違和感や不快感が代表的な症状です。
逆流性食道炎(Gastro Esophageal Reflux Disease:GERD)
逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が食道に逆流して発症します。
胸やけ、胸の痛み、みぞおちの痛み、呑酸(酸っぱいものが上がってくる)、ゲップが増える、飲み込みにくさ、のどの違和感、声がかすれる、(肺や心臓に問題がないのに)長引く咳などの症状を認めます。
食後に症状が強くなる傾向があります。
非びらん性胃食道逆流症(Non-Erosive Reflux Disease:NERD)
非びらん性胃食道逆流症は、胃カメラ検査では食道の粘膜に異常を認めないにもかかわらず、胸やけ、胸の痛み、みぞおちの痛み、呑酸(酸っぱいものが上がってくる)などの逆流症状を認めます。
原因として、食道の知覚過敏や、食道の運動障害が関与していると考えられています。
慢性胃炎
胸やけ、げっぷ、胃もたれ、胃痛、吐き気や膨満感などの症状を認めます。
慢性胃炎の約8割はピロリ菌感染によるものと言われています。
その他の原因として、暴飲暴食などの生活習慣の乱れ、ストレス、鎮痛剤の長期内服などがあります。
長期間にわたり胃粘膜に炎症がおきると、胃粘膜は萎縮します。
胃粘膜の萎縮が進行するにつれて胃がんが発症するリスクが高まるため、注意が必要です。
胃・十二指腸潰瘍
胃の粘膜から分泌される胃液には食物を消化したり、体の外から細菌が侵入することを防ぐために、塩酸と同じくらい強い酸性の胃酸が含まれています。
胃の粘膜は通常は粘液という液体で守られているため、胃酸で溶かされることはありません。
胃酸の分泌が増えたり、粘液が減ってしまうと胃や十二指腸の粘膜は胃酸によってダメージを受け、粘膜がただれたりはがれ落ち、潰瘍になります。
ピロリ菌感染が原因となることがほとんどですが、痛み止めや血液をサラサラにするお薬の副作用、飲酒喫煙、ストレスなどが原因となることもあります。
潰瘍ができるとみぞおち付近が痛みます。
その他の症状としては、胸やけ、胃もたれ、食欲低下、膨満感、胸痛、タール便、貧血などがあります。
食道がん
食道はのどと胃をつなぐ直径約2~3㎝、長さは約25㎝程度の管状の臓器で、口から入った食べ物を胃まで運ぶ役割をはたしています。
食道がんとは、食道の粘膜に生じるがんのことです。
発症初期は食道粘膜の表面に生じます。
食道は他の消化管と違って外側を漿膜という膜でおおわれていないため、周囲にある気管や大動脈、心臓や肺などに浸潤(がんが染み込んでいくこと)しやすい特徴があります。
リンパの流れが豊富なため、胃がんや大腸がんと比べて早い段階で広範囲のリンパ節に転移する特徴があります。
がん細胞が血液の流れにのって肝臓や、肺、骨などに転移するリスクが高い特徴があります。
食道がんは早期発見が大事になりますので、以下の危険因子をお持ちの方は、定期的な胃カメラ検査をお勧めします。
危険因子としては、アルコール、タバコ、熱い飲食物、食道アカラシア、逆流性食道炎、バレット食道などがあります。受動喫煙でも発がん物資を吸い込んでしまい、リスクが高まりますので、ご注意ください。
特にお酒を飲んで顔が赤くなる人、今は顔が赤くならなくても、お酒を飲み始めた最初のころに顔が赤くなった人は要注意です。
このような人はお酒を飲んだ時にできる、発がん性の物質であるアルデヒドを上手に分解できないため、食道がんのリスクが高まります。
喫煙と飲酒の両方の習慣がある方は、食道がんだけではなく、のどや口の中の癌のリスクも高まります。
また。胸やのどに不快感がある方も、早めの胃カメラ検査をおすすめします。
受診するタイミング
症状がある方
胸やけだけでなく、強いみぞおちの痛みや腹痛、黒色便(タール便)や吐血を認める時は速やかに受診してください。
また、弱い痛みでも、胸、肩、背中や腰まで痛みが広がっている場合は、速やかに受診してください。
市販の胃腸薬を内服している方
市販の胃腸薬を内服している方でも、以下の症状が続く場合は早めに受診してください。
- 胸やけが長く続いている。
- 日頃から胃に違和感がある
- 3日程度内服しても症状が改善しない
- 内服すると症状が改善するものの、内服をお休みすると症状をぶり返す
暴飲暴食で胸やけしているなど原因がはっきりしている場合や、一時的な胸やけの場合は市販薬を内服することで症状が改善することがあります。
逆流性食道炎や、食道がん、胃・十二指腸潰瘍などの病気の症状として、胸やけ症状を認めることがあります。
胸やけ症状が続いている場合は、胃カメラ検査などで胸やけの原因を明らかにして、適切な治療を受けましょう。
胸やけの検査
胃カメラ検査
胃カメラ検査は辛くて苦しいので、検査を受けたくないという方もたくさんいらっしゃいます。
当院では患者様の希望に合わせて、鎮静剤を使用した胃カメラ検査や、経鼻内視鏡を使用し、患者様の負担を最小限におさえた胃カメラ検査を受けていただくことができます。
内視鏡学会専門医が、最小限の時間で精度の高い検査を行っておりますので、過去に胃カメラ検査で苦い経験がある方でもぜひ一度ご相談ください。