虚血性腸炎

虚血性腸炎とは

大腸のまわりの血管が動脈硬化などによって、狭くなったり閉じてしまうと、大腸壁の血のめぐりが悪くなり、いわゆる虚血状態に陥ります。
虚血状態になると大腸に栄養や酸素が届かなくなり、大腸の粘膜は障害されてしまいます。
一時的に血液の流れが悪くなることで起きる一過性型の虚血性腸炎、
強い血流障害が長い時間続くことで、腸に潰瘍ができて潰瘍が治る際に腸が狭くなってしまう狭窄型の虚血性腸炎、腸管が壊死してしまう壊死型の虚血性腸炎に大別されます。

突然の腹痛に引き続いて起こる血便が、特徴的な症状として知られています。
高齢者や便秘がちの人に起きやすいと言われています。
粘膜が障害される範囲によって血便や腹痛の程度も変化します。
大抵はお食事をお休みにして、お腹を安静にすれば快方に向かいますが、細菌感染を合併した場合は抗菌剤の投与が必要となることもあります。
主に左側の下行結腸からS状結腸にかけて血流が滞りやすく好発部位となります。
下痢、腹痛、血便、下痢といった症状が起こります。

虚血性腸炎と似た疾患

上記のような特徴的な症状は以下の疾患でもよく認められます。

虚血性腸炎の治療

多くの場合は1～2週間で症状は治まります。
腸管を安静にするためにお食事はお休みにして、脱水予防のため補液（点滴）をします。
症状にあわせて、ゆっくりと消化のよいお食事から再開します。
細菌感染の合併が疑われる場合は、抗菌薬を投与することもあります。
ほとんどの方は一過性の症状で、治療期間はそこまで長引きません。

なお、狭窄型（深い潰瘍ができて治った後に、腸管が狭くなる状態）や壊死型（腸が壊死した状態）の場合は、外科的な手術が必要になることがあります。