健康診断
年に1回程度のペースで定期健診を受けることで、ご自身のお身体の状態を把握されることをお勧めします。
特段の症状が現れていない状態で精密検査を受けることによって早期発見ができる可能性が高まります。
生活習慣病の危険性などに気づいて生活習慣を正すことで、重大な疾患の発症予防につながり、健やかな生活を長く続けることができるようになります。
生活習慣の乱れが原因となって重大な疾患が発症するリスクが高まりますので、生活習慣を見直すことが様々な慢性疾患の発症予防へと直結します。
さらに、病気の早期発見によってQOLを維持しながら病気の治療に取り組むことも可能になります。
健康診断の結果をうまく活かして、健康維持に努めていきましょう。
学校や職場、自治体で健診を行うことが一般的です。
毎年受けることが習慣になっている方がほとんどですが、中には受診できなかったという方もいらっしゃいます。
また、お仕事などで忙しいことを理由に、特に身体に変化がないからと長期間受診せずにいる方もいらっしゃいます。
健診によってご自身のお身体の状態を確認するだけでなく、毎年受け続けることで前年と比べた際の異変も分かりやすくなるというメリットがありますので、定期的な受診をお勧めいたします。
健診種類
定期健診
学校、職場、自治体で行っている定期健診です。
基本的な検査項目が中心ですが、実施先によっては受診ペースや項目に若干の違いがあるかもしれません。
当院では練馬区の自治体健診に対応しています。
一般健診・付加健診
血液検査や尿検査などの一般的な項目だけでなく、生活習慣病などの発症頻度が高い病気についての検査を実施します。
早期発見によって多くの病気はスムーズに治療に取り組むことができますので、定期的な検査をおすすめします。
特定健診
高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの生活習慣病、肥満によるメタボリックシンドロームとなると、動脈硬化が進行する恐れが増します。
進行リスクを適切に見極めるための検査を実施し、早期発見と早期治療を行い、生活習慣を見直すサポートをします。
雇入時健康診断
就職や転職をされる方が必ず受けるべき健診で、項目は一般的な健診と大きな違いはありません。
所要時間
ご来院~ご帰宅までおおよそ1時間を見込んで頂ければと思います。
検査結果のお渡し
簡易健診の場合は早ければ翌診療日に結果をお渡しできます。
なお、血液検査を実施する場合は結果のお渡しに数日必要となりますので、予めご了承ください。
検査項目
検査項目 | 一般健診(雇用時健康診断) | 簡易健診 |
---|---|---|
内科診療 | 〇 | 〇 |
血圧測定 | 〇 | 〇 |
身長、体重、BMI、腹囲測定 | 〇 | 〇 |
尿検査 | 〇 | 〇 |
視力・聴力 | 〇 | 〇 |
胸部レントゲン | 〇 | |
心電図検査 | 〇 | |
脂質検査 (HDLコレステロール、LDLコレステロール、血清トリグリセライド) | 〇 | |
肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP) | 〇 | |
血糖検査 | 〇 |
予防接種
予防接種を受けられない方・注意が必要な方
- 重い急性疾患を患っている方
- 明らかに発熱している方
- ワクチンに含まれる成分(抗生物質、安定剤、卵など)でアレルギー症状が出た経験がある
- 妊娠中の方 ※風疹、麻疹の予防接種の場合
- 腎臓病、肝臓病、心臓病、血液の病気などで治療中の方
- 過去の予防接種で接種後2日以内に発疹、蕁麻疹、発熱などのアレルギー症状が出た経験がある方
- 過去にけいれんを起こした経験がある方
- 過去に免疫不全の診断を受けたことがある
- ご家族に先天性免疫不全の方がいる
インフルエンザ
毎年11月下旬頃から流行りだし、1〜3月に最も流行します。インフルエンザのワクチンは流行時期に間に合うように受けることをお勧めします。
ワクチンの効果が出るまで接種後2週間程度は必要となり、効果は5カ月程度続くと考えられています。
したがって、11月上旬から12月中旬までに接種を済ませておくことをおすすめします。
特に、12月以降に受験など重要な予定が入っている方は、11月中旬までの接種が望ましいと思われます。
インフルエンザが重症化すると、肺炎や気管支炎のリスクが高まり、深刻なものでは脳症を併発する恐れもあります。
インフルエンザワクチンは、インフルエンザ自体の発症予防だけでなく、発症後の重症化リスク低減や合併症のリスク低減にも有効です。
さらに、ワクチン接種される方が多ければ多いほど、インフルエンザが流行するリスクが減ると考えられています。
当院ではインフルエンザ予防接種を行っておりますので、接種をおすすめします。
肺炎球菌ワクチン
昨今、日本の死因第5位(2020年現在)となっているのが肺炎(誤嚥性肺炎を含む)です。
肺炎は様々な細菌が原因となって発症しますが、その内の約1/4が肺炎球菌によるものです。
1990年代以降、抗生剤に耐性があるタイプの肺炎球菌が増えておりますので、肺炎球菌ワクチンを接種することは非常に大切です。
2014年10月より肺炎球菌ワクチンの定期接種がスタートしております。
対象となる方は、65歳、70歳、75歳、80歳と5年ごとの年齢の方です。
接種は一度で5年以上効果が続くとされております。
なお、欧米の接種率は6割を超えている一方で、定期接種が始まってからも日本国内の接種率は約4割と低く、認知拡大が求められています。
肺炎球菌ワクチンは日本だけでなく世界各国で効果が認められています。
日本では、2種類のアクチンが使用されており、中でも65歳以上の方にはニューモバックスNPが適していると考えられています。
当院では、地域の一人でも多くの方が肺炎球菌による肺炎の予防ができるようにしたいと考えており、初診時・健診時・インフルエンザワクチン接種時など、65歳未満の方でもご案内することがあります。
65歳未満の方の接種は原則自己負担となりますが、健やかな生活を長く送るためにぜひ一度ご検討いただければと思います。
対象の方
65歳以上の方、65歳未満でも以下の基礎疾患をお持ちの方には接種を推奨します。
- 糖尿病
- 慢性心疾患
- 慢性呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患COPD、気管支喘息など)
- 慢性肝疾患(肝硬変、肝がん、B型肝炎、C型肝炎)
- 自己免疫性疾患
- 脾臓摘出手術を受けた方
- 悪性腫瘍、臓器移植を受けられた方
- 施設入所中
特に、①〜④に当てはまる場合は肺炎球菌の感染リスクが健康な方の6〜11倍にもなると考えられていますので、注意が必要です。
B型肝炎ワクチン
B型肝炎は血液や体液から感染します。一過性感染と持続感染に大別されます。70~80%は一過性感染です。
しかし、場合によってはウイルスが完全に消えず、感染状態が慢性化(持続感染)することがあり、肝硬変から肝がんへと進行する恐れがあります。
B型慢性肝炎に有効な治療薬はいくつか存在しますが、治療期間は長期にわたることが多く、心身や治療費の負担を強いられます。
したがって、そういった状況に至ることを防ぐためにも、適切な予防策が重要となります。
B型肝炎は、針刺し、性的接触、母子感染での感染が多いと言われています。
特に、性的接触による感染は非常に多くのケースで見られます。
B型肝炎ウイルスを持つパートナーとの性行為、男性同士の性行為では避妊具を使っても予防効果は充分ではないため、ワクチン接種が望ましいでしょう。
また、体液曝露のリスクがある救命救急士や消防士、針刺し事故のリスクがある医療・介護従事者の方もワクチン接種を受けることが望ましいでしょう。
さらに透析治療中(もしくは検討中の方)の方も接種をおすすめします。
日本において透析治療を受けている方は、そうでない方と比べてB型肝炎ウイルスへの感染リスクが約3倍にもなると言われているため、注意が必要です。
B型肝炎ワクチンの接種が完了するまでにはおよそ6か月必要となりますので、いずれ透析の治療を検討されている方は、なるべく早めに接種を始められることをおすすめします。
B型肝炎に免疫を持っているか血液検査で調べることも可能ですので、ご希望の方は一度当院までお問い合わせ下さい。
大人(成人)がB型肝炎ワクチン接種を受ける際は、「初回・1か月後・6か月後」の3回接種が原則となります。
B型肝炎ワクチンの添付書類によると、「3回目の接種には1回目の接種から139日以上経過している必要がある」との記載がありますが、ワクチンの持続性を考慮して20~24週で接種することが望ましいと言えるでしょう。
一度免疫を手に入れればおおよそ15年間は効果が続くと考えられており、20代で接種を完了した方が有効とも言われています。
なお、B型肝炎ワクチンは年齢を重ねるにつれて効果が弱まる傾向にあるため、注意が必要です。
3回目の接種から1~2か月後を目途に抗体検査を受けて頂き、抗体陰性の結果が出た場合は追加接種を検討するケースもありますが、陽性の場合は、追加接種は不要です。
海外旅行・出張・赴任を予定されている方へ
渡航先での感染を予防する目的、あるいは、入国にあたってワクチン接種が必要となることがあります。
接種すべきワクチンは渡航先によって異なりますので、予め医師にご確認ください。 ほとんどの場合は、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、日本脳炎、麻疹・風疹、狂犬病のワクチンを接種します。
帯状疱疹ワクチン
約3人に1人の方が一生に一度は帯状疱疹を発症すると言われており、85歳以上の方のうち約2人に1人が、発症経験があるとされています。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、水痘を発症してから腰随や仙随の後根神経節に潜んでおり、ストレス、免疫低下、過労、加齢などの要因で再びウイルスの活動が活発になり、皮膚に痛みや発疹などの症状が出ます。
また、Ramsey-Hunt症候群(難聴、顔面神経麻痺、めまいなどの症状)、帯状疱疹後の神経痛、遅発性の脳梗塞、脊髄炎といった合併症が起こりやすいとも考えられており注意が必要です。
50歳以上の方を対象にしたある研究報告によれば、帯状疱疹の罹患率は4-10人/1000人年、感染後の神経痛は2人/1000人年というデータがあり、加齢に伴って罹患率も上昇する傾向があります。
日本は高齢化がどんどん進行しているため、患者様の数も増加傾向にあるのが現状です。
帯状疱疹後の神経痛は、ウィルスによって神経が傷ついたことによっておこる神経障害性疼痛という痛みで、通常の痛みと比べて治療が難しいことが多く、水痘感染を引き起こすリスクも高まりますので注意が必要です。
帯状疱疹の発症予防のために、水痘生ワクチンまたは、2020年より認可を受けた不活化ワクチン(シングリックス®)の接種が効果的とされています。
接種によって帯状疱疹と後疼痛を約60~80%の確率で抑制することが可能と報告されています。
また、2016年より帯状疱疹を予防するために水痘ワクチンの任意接種ができるようになりました(対象:50歳以上の成人)。
シングリックスの方が予防効果は群を抜いて高いと言われていますが、一方で患者様への経済的な負担は大きくなります。
以下の表にも参考情報を記載しておりますが、ご自身に適したものはどちらか迷う方は、お気軽に当院までご相談ください。
水痘生ワクチンの場合
対象 | 50歳以上の成人(任意接種) |
---|---|
接種回数 | 1回 |
摂取量 | 0.5ml /回 |
接種方法 | 皮下注射 |
帯状疱疹不活化ワクチン(シングリックス®)の場合
対象 | 50歳以上の成人(任意接種) |
---|---|
接種回数 | 2回 |
摂取量 | 0.5ml /回 |
接種方法 | 筋肉注射 |
接種期間 | 2ヶ月以上経過してから2回目の接種(半年以内) |
帯状疱疹予防ワクチンの比較表
弱毒水痘生ワクチン | シングリックス | |
---|---|---|
特徴 | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
発症予防効果 | 50% | 97% |
発症後神経痛予防効果 | 66% | 88% |
接種回数 | 1回 | 2回 |
費用 | 4,000円 | 11,000円 |
効果持続期間 | 5~10年 | 8年以上 |
メリット | 安価 副反応があまり起こらない |
高い予防効果を持つ |
デメリット | シングリックスよりも予防効果は低い | 接種部位に腫れや痛みが生じやすい 2回の接種が原則となる |